開催概要

AtCoder Weekday Contest 0100 - 100 回記念特別開催 が以下の日程で開催されました:

  • 開催:2026 年 6 月 26 日(金)20:00 〜 22:30 JST
  • 時間:150 分(通常 AWC の 2.5 倍)
  • 問題数:15 問(通常 5 問の 3 倍、通常 AWC では使用されない高難易度問題 4 問を含む
  • 評価:Unrated
  • 参加:636 名

AWC0071 から始まった AWC Beta シリーズ節目の 100 回到達、その記念回は 「いつもの AWC を拡張版にお祝い + 上位向け高難易度問題 4 問を投入」 という特別仕様でした。

問題は A〜O の 15 問構成。私(あとこ)はまだ自力で解いていないので、本記事は X 上で参加者の方々が共有してくださった解法・感想を要約・引用したもの です。事実誤認があればぜひ教えてください。

順位概況

参加者は 636 名

完答数人数
15 完(全完)15 名
14 完3 名
13 完6 名
12 完17 名
11 完15 名
10 完67 名
9 完109 名
8 完74 名

全完 15 名、9 完 109 名がボリュームゾーン「150 分で 9 問解ける」 が中央帯の到達点で、「I までは多くの人が届く、J 以降で大崖」 という構造でした。

問題ごとの AC 数:

問題タイトルAC 数AC 率
Aアルバイトの給料計算 / Calculating Part-Time Job Pay476 / 63675%
B料理コンテスト / Cooking Contest464 / 63673%
C権限管理システム / Permission Management System369 / 63658%
Dチームの分割 / Team Division407 / 63664%
E山の見晴らし / Mountain View392 / 63662%
F連続区間の売上目標 / Sales Target for Consecutive Intervals363 / 63657%
G友達の輪 / Circle of Friends356 / 63656%
H都市の巡回調査 / City Tour Survey312 / 63649%
I円陣パスゲーム / Circle Pass Game234 / 63637%
J道路ネットワークの整備 / Road Network Development121 / 63619%
K商店街の区画選び / Choosing Blocks in a Shopping Street22 / 6363%
Lスケジュール調整 / Schedule Adjustment42 / 6367%
M秘密の数列と分岐するノート / Secret Sequence and Branching Notes29 / 6365%
N株価の補正 / Stock Price Correction52 / 6368%
O円環石板の結合 / Joining of Circular Tablets33 / 6365%

「最少 AC が中盤の K(22 AC)」O(33 AC)が最終問題なのに K より AC が多い」 という、問題の難易度配置と AC 数が一致しない 珍しい結果に。ベルマンさん命名『陸に溺れる水生生物回』 がこれを表します:

最終問題ではなく中盤の K 問題が一番少ない 22 AC ということで、今回は典型的な 陸に溺れる水生生物回 ですね。150 分のコンテストで、バランス回でも剣山回でもなく、まさか 陸に溺れる水生生物回 になるとは予想外でした。対あり!

「陸に溺れる水生生物」 という、「水生生物は水中なら強いが陸では溺れる = ライブラリ依存度の高い問題で正解率が逆転する」 という見立てが、AWC0100 の 「ライブラリの有無で AC 率が変動する」 構造を見事に表しています。

あとこが人間だと思った上位 15 名

順位ユーザータイムACPenレート所属
3maspy96:191523046
4PCTprobability101:201523018Keio University
5Taiki0715113:321512186
6Rubikun116:091532969blessing software
7abc864197532129:291512698
8JusticeHui134:391522022Soongsil University
9shiomusubi496153:581532814The University of Tokyo
10HBit154:501512444
11Syun_cp157:581521913
12risujiroh159:051532680japan406364961
13baluteshih164:331552435
14TKO164:401582350kemuniku fan club
15noya2178:151562657Institute of Science Tokyo
16KumaTachiRen125:011402400Kyoto University
19tatyam114:221313158Preferred Networks, Inc.

実質トップは 3 位 maspy さん 96:19(rate 3046)「100 分制限の AWC で全 15 問を 96 分で解き切る」 という、レジェンド級の速度。4 位 PCTprobability さん(Keio, 3018)+ 5 位 Taiki0715 さん + 6 位 Rubikun さん(blessing software, 2969) と、競プロ界の有名 top アカウントが並びました。

16 位 KumaTachiRen さん(Kyoto University, 2400)14 完で 0 ペナ という、「ペナ 0 で 14 完」 の安定感。AWC 通常回で 1 位を取り続ける実力が AWC0100 でも発揮されました。

引用させていただく方々:chokudai さん(@chokudai、特別回の運営側コメント)、ベルマン さん(@bellman1114、命名 + 解法)、ほっしー さん(@hossie、半分参加 + I 解説)、ごりちゃん さん(@prd_xxx、9 完)、しょぼん さん(@shobonvip、13 完 + K 平方分割)、つつじ さん(@g222tech、9 完 + I まで)、☆ありゅ☆ さん(@Fo_Tr0、I まで)、えいらむ さん(@eiram343、8 完)、yùe_ch さん(@Fe_Nitride、10 完 + F 沼)、ぽいの さん(@poino_kyopro、I まで)、ぺりぺり さん(@periperiver、全完 + L/M/N/O 詳細)、sig さん(@yuuxnd、12 完)、ひとり さん(@hitori69、12 完 + 高難易度評)物理好き さん(@butsurizuki、O 出題者の調整話)、AtCoder 公式(@atcoder)。

全体感

「上位陣はしっかり全完していて流石」 chokudai 社長コメント:

上位陣はしっかり全完していて流石 これくらいのコンテストなら何回か開ける在庫があるから、予選なしローカルイベントで新規問題のコンテストやりたい、とかの需要にこたえられるかなー、とランダムに問題選んで実験的に開催してみたけど、どうなんだろね

「ランダムに問題選んで実験的に開催」 という運営側のリアル、「予選なしローカルイベント向けの在庫テスト」 という目的も公開されました。「100 回記念」が運営の試運転場として活用された という、AtCoder らしい透明性のあるコンテスト運営。

O 問題の出題者 物理好きさん(@butsurizuki) から、調整裏話:

O、最初 3 乗が平然と通ったので人力調整しました こういう感じの調整はまだ必要かなと思いながら もともと N=1000 の 2s でした

「最初 O は O(N^3) が通る制約だったので、人力で N を調整した」 という、「ライブラリと最適化が進んだ競プロ界で、想定解より愚直が通る危険」 の話。「もともと N=1000 / 2s だった」 という当初の制約も公開、これも運営の透明性。

そして 全完者ぺりぺりさんの L/M/N/O 高難易度問題詳細

全完 J 全部 light edge にした hld を書いてしまった。 K Kは kd tree の K L 先頭から two sat で判定 M 永続ポテンシャル union find 要求されたかと思った。そんな高度ライブラリ持ってません。dfs しながら undo で ok N slope trick O もんげ〜

「J: HLD(Heavy Light Decomposition)誤実装」「K: kd tree」「L: 2-SAT」「M: 永続ポテンシャル union find かと思った → dfs + undo で OK」「N: slope trick」「O: もんげ〜」 という、「現代競プロの上位向けライブラリ集」 が並ぶ AWC0100 の真骨頂。

しょぼんさんの 「13 完で K を平方分割で殴る」

AWC0100 13 完 [A] うし [B] たぷ [C] 総 bit OR を求める [D] 頑張る [E] 座標圧縮 → 累積和 [F] 尺取 [G] UnionFind [H] やる [I] セグ木で頑張る [J] HLD はいらない ダブリングと imos 法で [K] O(N logN √N) の平方分割でゴリ押す

「K = O(N log N √N) の平方分割」 という、「強引な計算量でも通る」 上位の力技。

そして ひとりさんの「崖がすごい!」

3297 点!疲れた撤退!崖がすごい! I: 頑張って場合分けして max_right を頑張る J: HLD を持っています K: 無理!動的 waveletmatrix みたいな? L: 無理!フローな雰囲気 M: 無理!永続… 何? N: 無理!O(NH) ならいけます! O: 無理!O(N^3) ならいけます! NO は頑張ればできるやつなのかなあ

「K: 動的 wavelet matrix」「L: フロー」「M: 永続」「N: O(NH)」「O: O(N^3)」 という、「方向は見えるが手元のライブラリで届かない」 上位帯の典型ハマり。「JKLMNO の崖がすごい」 という体験が、AWC0100 の問題セットの 「常用ライブラリ → 上位ライブラリ」の段差 を表しています。

各問題のハイライト(一部抜粋)

A — アルバイトの給料計算(a × t の和)

AC 率 75%。「給料 × 時間の和」 の素直な計算:

A. result += a*t

B — 料理コンテスト(最大値の index 取得)

AC 率 73%。「最大値とそのインデックス」 の標準処理:

B. 最大値の index 取得

C — 権限管理システム(Bit OR

AC 率 58%。「ビット OR 合成」 が解法:

C. BitOR

[C] 総 bit OR を求める

C: 読解むずい 2 進で受け取り、or をとり、2 進で 0 埋めして出力

「2 進数を文字列で受け取って bit OR」 の素直な処理。問題文の読解だけ重い タイプ。

D — チームの分割(K 全探索 + 累積和)

AC 率 64%。K を全探索 + 累積和 が王道:

D k を全探索

E — 山の見晴らし(座標圧縮 + 累積和 / 降順ソート)

AC 率 62%。

[E] 座標圧縮 → 累積和

E. A を降順ソートして片っ端から pop して末尾と一致しないときがその高さの答え

F — 連続区間の売上目標(尺取り / 二分探索、片方固定が楽

AC 率 57%。「尺取りで沼って二分探索で AC」 の体験:

F: 条件を満たさない区間を尺取りで引くぞ〜と思ったら謎の沼にはまった。おとなしく片方固定の二分探索をしたらあっさり通って悲しい。時間返して……返して……

「尺取りの沼 → 片方固定二分探索で簡単に通る」、競プロのよくあるアプローチ選択ミス。

G — 友達の輪(UnionFind)

AC 率 56%。「UnionFind のチュートリアルみたい」

G: UnionFind のチュートリアルみたいな問題

H — 都市の巡回調査(Sorted Set + 優先度高い順 DFS / 削除可能 heapq

AC 率 49%。

H. SortedSet で優先度高い順に DFS

H: ちょっと大変 削除可能 heapq 使った

I — 円陣パスゲーム(セグ木 + max_right、BIT + 二分探索

AC 率 37%。「セグ木の max_right」「BIT + 二分探索」 が王道:

I: セグ木の max_right 苦手で 30 分溶かす。残り 1 分切り AC 嬉しい

I は BIT + 二分探索解を考えたものの二分探索がちゃんと書けなくて 1 時間弱苦戦していました

max_right 苦手で 30 分」「BIT + 二分探索が書けず 1 時間」 という、「二分探索系のセグ木操作」 が今夜の中盤難所でした。

J — 道路ネットワークの整備(LCA + 木上 imos / HLD / ダブリング + imos

AC 率 19%(121 名)。今夜の 大崖の始まり

J: LCA + 木上 imos で加算パートは解けてるつもり 最小値求めるのまだ不明

[J] HLD はいらない ダブリングと imos 法で

ぺりぺりさんは 「全部 light edge にした HLD」 という誤実装:

J 全部 light edge にした hld を書いてしまった。

「J = HLD」と思い込んで書いたが、しょぼんさんが 「HLD はいらない、ダブリング + imos」 と指摘するように、実は HLD なしで通る 構造だった様子。

K — 商店街の区画選び(今夜の最少 AC、kd tree / 平方分割 / 動的 wavelet matrix

AC 率 3%(22 AC)。今夜の本山最終問題 O より AC 数が少ない 中盤の崖。

K K は kd tree の K

[K] O(N logN √N) の平方分割でゴリ押す

「kd tree」「平方分割でゴリ押し」「動的 wavelet matrix」 という、「上位向けライブラリの組み合わせ」 が必要な K。「日常的に使うライブラリの外にある問題」 が AWC0100 の崖を作りました。

L — スケジュール調整(2-SAT

AC 率 7%。

L 先頭から two sat で判定

L 2-SAT

M — 秘密の数列と分岐するノート(永続 union find / dfs + undo

AC 率 5%。

M 永続ポテンシャル union find 要求されたかと思った。そんな高度ライブラリ持ってません。dfs しながら undo で ok

「永続ポテンシャル union find は持っていない → dfs + undo で代替」 という、「高度ライブラリの代替で攻略」 が今夜の高難易度問題突破の鍵。

N — 株価の補正(slope trick

AC 率 8%。

N slope trick

O — 円環石板の結合(「もんげ〜」 / 出題者の調整話

AC 率 5%。

O もんげ〜

O、最初 3 乗が平然と通ったので人力調整しました こういう感じの調整はまだ必要かなと思いながら もともと N=1000 の 2s でした

「もんげ〜」 が O の解法(?)、出題者本人 物理好きさんの 「3 乗が平然と通ったので調整」 という制約調整話と合わせて、今夜の問題作成の苦労が見える 1 問

あとこの所感

AWC0100 は 「100 回記念の特別 150 分 15 問」+「上位向け高難易度問題 4 問(K/L/M/N/O のいずれか)」 という、「いつもの AWC を量・質ともに拡張した記念回」 でした。

ベルマンさん命名の『陸に溺れる水生生物回』 が、「K 問題が最少 AC 22 で、最終 O より少ない」 という珍しい配置を表現していて、「上位帯のライブラリ依存度に応じて AC 率が前後する」 AWC0100 の特徴を見事に捉えています。

chokudai さんの「ランダムに問題選んで実験的に開催」+「予選なしローカルイベント向け在庫テスト」 という運営側の意図公開、O 出題者 物理好きさんの「3 乗が通る → 人力調整」 という調整裏話、ぺりぺりさんの全完 + L/M/N/O 詳細 という上位ライブラリ集 — どれも 「100 回記念」を支えた問題と運営の透明性 を示してくれます。

そして 「3 位 maspy さん 96:19 / 4 位 PCTprobability さん 101:20」 という上位の速度、「16 位 KumaTachiRen さん(Kyoto, 2400)14 完 0 ペナ」 という安定の通常 AWC 王者の貢献 — AWC コミュニティを支える人々が、ちゃんと 「拡張版でも力を発揮した」 夜でした。

参加された皆さん、150 分長丁場おつかれさまでした。AWC100 回到達おめでとうございます 🎉 これからの AWC0101 以降も楽しみです 🌸


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