開催概要

2026 年 7 月 18 日(土)21:00 - 22:40 JST に AtCoder Beginner Contest 467(ABC467) が開催されました。AHC068 が同日 15:00-19:00 で終わった直後のダブルヘッダー、疲れた頭で臨む夜。参加者は 13,145 名

BDG 問題の Tester は sounansya さん:

ABC467 お疲れ様でした、BDG の Tester をしました D:何も考えず Python で常勝 G:merge sort tree を 1 から実装することに泣 このデータ構造凄いですね〜

G の Tester が「merge sort tree を 1 から実装することに泣」 — G の骨格が Merge Sort Tree だと分かる公式ヒント。

順位概況と AC 分布

問題ごとの AC 数:

問題タイトルAC 数AC 率
AObesity9610 / 1314573%
BKeep the Change10043 / 1314576%
CAdjacent Sums (easy)5942 / 1314545%
DConcentric Circles4074 / 1314531%
EAdjacent Sums (hard)1052 / 131458%
FEmail Scheduling Optimization452 / 131453%
GMany Sweets Problem126 / 131451%

A 73% / B 76% で B > A の逆転C 45% → D 31% → E 8% → F 3% → G 1% の減衰。A で誤差死する参加者が多数(後述)、B が「素直な keep 集計」で通しやすいのが逆転の原因でしょう。

「実質 1 位」を探す:順位表上位には rate 0 / rate 3 / rate 297 など、実力に対して時間が異常に速い(40〜60 分で 7 完)アカウントが並ぶ通常状態。純粋な高レート勢では:

順位ユーザータイムPenレート所属
4potato16757:4413200
17aaa_Pigeon77:4812457
19PCTprobability80:4443018Keio University
23tkdgkb82:4812016CodeLab
26ttamx84:3312445Chulalongkorn University
29nut32188:2402430
35zzr95:2402545

実質頂点は potato167 さん(rate 3200)の 57:44・7 完 1 ペナ。10 位圏内で明確に高レート勢と判別できる唯一のアカウント、AHC068 直後の夜に AK 級の走り。

引用させていただく方々:ごりちゃん さん(@prd_xxx、4 完大怪我)、Mogobon さん(@Mogobon、A の実数誤差トラップ)、甘味料 さん(@Mikan_04y、D 二等分線)、DY さん(@dy_X_account、D シンプル解法)、ほっしー さん(@hossie、AHC 直後 5 完)、Andrew N さん(@Andrew8128、E から解いて凄まじい負け)、Ayuna さん(@Ayuna_gr、CE の統一戦略)、くすにぬ さん(@kusuninu、E で C も通せる)、西懸 さん(@nishigake、CE の三分探索罠)、ゼリトキ さん(@ZeriToki1123、F クエリ先読み+セグ木)、くで さん(@kude_coder、G の Wavelet Matrix 未遂)、KuronekoStrap さん(@KuronekoSt78322、A の double 敗北)、カリア さん(@kaliafluorido、6 完)、Rino さん(@Rinoprogram、C 実装)、Q氏 さん(@pnum7_、35 分 5 完)、しべはすぅ さん(@_ShibeHasu、A 単位変更嘆き)、sigma(Tommy) さん(@sigma5736394841、実装詳細)、sounansya さん(@nasya_AC、BDG Tester)。

全体感

A『Obesity』の実数誤差トラップ

AC 率 73%、大量の 1WA/2WA が出た伝説の A。sigma(Tommy) さんの回避策:

A: 割り算でやってバグるのが嫌なので判定式を掛け算でかいた

「割り算 → 掛け算に変形」 の実数誤差対策が正解ムーブ。

Mogobon さんの叫び:

A: あれ!?なんで通らないんだ!?…メートル!?🌋

甘味料 さんの整数化式:

A: 10000 W >= 25 H^2 なら Yes

「10000W ≥ 25H²」の整数比較。25 = 5² だから、(体重/身長²) ≥ 2510000×W ≥ 25×H² に持っていく式変形。これで実数を使わずに済みます。

KuronekoStrap さんは double で敗北:

A: 2 度と double 型使いません

「A 問題で double トラウマ」 の名文。

ごりちゃん さん:

A: A 問題から誤差死狙ってくると思わんやん!2 ペナ

「A 問題から誤差死」 — ABC-A で double 誤差落としに来る writer は珍しく、しべはすぅ さんも:

A: 身長の単位が変わってるなら教えてくれ… 小数使って死ぬ A 問題ってなんやねん…

「身長の単位が変わってるなら教えてくれ」— 身長を cm でなく m 単位で入力に載せられていて、それが実数トラップを増幅した模様。

B『Keep the Change』の keep 集計

AC 率 76%(A より高い!)。「keep のとき損した合計」で解ける素直な B:

B: 2 パターン試すだけ

B: keep のときのお釣りの総和

ごりちゃん さんの「2 パターン試す」/ 甘味料 さんの「keep のときのお釣り総和」 — 「使うか使わないか」の分岐 で決まる古典 B。

C『Adjacent Sums (easy)』と E『Adjacent Sums (hard)』の連鎖性

C 45% / E 8%、AC 数比 5.7:1。C と E は同じ骨格a_1 を決めれば残りが確定するタイプ。くすにぬ さんの 「E のコードで C も AC できそうなので E を解く」 が象徴的:

C/E E のコードで C も AC できそうなので E を解く。B を足し引きする変換によって、数列 mod M の総和の典型問題になる。いろいろ的外れな方針を考えた結果、AC に 1 時間かかった

「E から C を通す」 の一石二鳥ムーブ、「B を足し引きする変換で数列 mod M の総和典型」 に落ちる骨格。1 時間かかったのは典型に気づくまでの試行錯誤。

Ayuna さんも同じ視点:

C, E: A_0 に何回操作するか考えれば残りの操作回数が決まる 実際は mod M を考えないといけなくて、操作回数が -M や +M 回になるタイミングを見る

「A_0 の操作回数 x を固定 → 残りが確定 → mod M で境界イベント」 の骨格。E の hard は mod M による境界跨ぎ の扱い。

西懸 さんは C の落とし穴で被弾:

ABC467、3 完な上に easy に釣られて E の検討したり D に行ったりして C が激遅に CE: 最初を固定すれば後は一意に決まる 凸じゃないので三分探索は駄目

「凸じゃないので三分探索は駄目」 — CE の x 変数、直感的に単峰っぽく見えて実は違うという罠。

Rino さんの C 解説:

C 問題、A_0 を変えるか変えないかでのみ結果が変わるので、2 周見るだけ。 先頭変えたら、後は矛盾ないように揃えていくのみ。01 で管理すると楽です。 個人的には解きやすかった部類。

「01 で管理」 の実装テク。Mogobon さんも:

C: 端っこが決まると連鎖するので、左端が 0 の場合、左端が 1 の場合、なんか右端が 0 の場合、右端が 1 の場合をやった。右端いらないのなんで

「端が決まれば連鎖」 の直感、「右端いらないのなんで」の pat = 左端固定で右端は決まっちゃう、という後付けの気づき。

D『Concentric Circles』の垂直二等分線

AC 率 31%。「4 点が同一円周上判定 → 垂直二等分線」の幾何:

D: 直線 PQ の傾きと RS の傾きが不一致なら Yes 傾きが一致する場合は垂直二等分線について調べ 4 点が同一円周上なら Yes、でなければ No

「傾き不一致 → 一意円、傾き一致 → 二等分線検査」 の場合分け。DY さんはさらにシンプルに:

D 模範解答よりシンプルな解法↓ PQ, RS(PQ // RS)の垂直二等分線が同じかどうかは PR = QS かつ PS = QR かを判定すればいい

「PR = QS ∧ PS = QR」の距離判定 — 二等分線の同一性を距離のペア等式に還元。座標計算を回避する綺麗な代替。

pnum7 さんの表現:

D: 頂点を結んだ辺 2 本の傾きが異なる or 中点同士のなすベクトルと辺のなすベクトルが直交なら Yes

「中点同士のベクトル ⊥ 辺のベクトル」 の直交判定。

ごりちゃん さんの評:

D: 問題児 やることは二等分線同士が交点を持つか?だとすぐ分かったけど、バグらせすぎ…

「二等分線同士の交点」 の視点 = 「PQ の二等分線 ∩ RS の二等分線が空でない ⇒ 中心存在 ⇒ 同一円周上」。方針は速いのに実装がバグるタイプの幾何 D。

しべはすぅ さん:

D: 円っていう単語が含まれる問題解けたことないねん。

「円と名が付いた問題苦手」 — 幾何 D あるあるの心の叫び。

甘味料 さんは AB C D の 4 完、Ayuna さんは 二元一次方程式の解の存在 で D を見ているのも面白い視点:

D: 二元一次方程式の解が存在するかどうか

F『Email Scheduling Optimization』とクエリ先読み+セグ木

AC 率 3%(452 名)。ゼリトキ さん:

F: クエリ先読みして丁寧に前処理をした後セグ木。3 分後 AC したから A をちゃんとやったら間に合った

「クエリ先読み → 前処理 → セグ木」 の 3 段構え。「A をちゃんとやったら(F を)間に合った」 — A の double 死が F 挑戦の時間を削った悔しさ。

くで さん:

降順に並べるのが最適と分かる。クエリ先読みし、順番にしたときどこになるのかを前計算しておいて、セグ木で処理。

「降順並び最適 + クエリ先読み + セグ木」 の 3 点セット。

Ayuna さんは F を追わず:

F: 変な比較関数がでてきて、セグ木で頑張ろうとしてたんだが…

くすにぬ さんも F を推測:

F 解けず。クエリ先読み + B でソート + lazy seg?

「lazy seg(遅延セグ木)」 の可能性まで想定しつつ時間切れ。

G『Many Sweets Problem』は Wavelet Matrix / Merge Sort Tree

AC 率 1%(126 名) の最難関。くで さんの G 未遂:

G: 「x 以上は全部取る」ような最小の x が、Wavelet Matrix をうまく使えばlog2個で解けるが、実装が大変なので log3 個にしたら TLE で終わり。

「log² で解ける最適解 → log³ で TLE」 の悔しさ。Wavelet Matrix の高度活用が想定解の 1 つ。

Tester の sounansya さんは Merge Sort Tree:

G:merge sort tree を 1 から実装することに泣

「Merge Sort Tree を 1 から実装」 — 標準ライブラリにないデータ構造を書き下ろす必要がある G。

「E から解いて凄まじい負け」

Andrew N さんの逆張り自爆:

まあいけるだろと思って E から解いたら解けず、凄まじい負けかたをした。 過去 10 回以上連続で E は解けてたのに、珍しく E から解いた時に限って解けないのが置かれているという罠。 80 分以上 E を考えてたけど、無理だった。

「E から解いた時に限って E が解けない」 のマーフィー系の悲哀。ABC の順序破りの怖さ。

ほっしー さんの AHC 直後 5 完

Unrated 5 完。AHC 直後で逃げたの失敗…… E: A の差分は偶奇で +1 -1 を繰り返す。各 A が m を超えるか 0 を下回る箇所をイベントサーチで確認 F: TLE 無理

「AHC 直後で(ABC を)逃げたの失敗」 — 今日のダブルヘッダー参加者共通の疲労感。しかも Unrated 参戦(DivRating の関係?) で 5 完はさすが。E の 「差分 +1 -1 の偶奇 → イベントサーチ」 の分析。

6 完・5 完ハイライト

カリア さん(6 完)

AB:やる C:先頭 0, 1 を両方試す D:2 点を通る円の中心は垂直二等分線、2直線が平行でなければ Yes で一致するときがコーナーケース E:差分更新。答えが大きく変わるタイミングだけ例外処理する…

Q氏 さん(35 分 5 完)

ABC467 お疲れさまでした。35 分 5 完。 E: 初項に操作しない場合の最適値を求め、初項に何回操作するとmodMの端に来る項が現れるかを覚えておく

「35 分 5 完」 の圧倒的速度。「初項の操作回数を x として、mod M の端に来るタイミングを覚える」 の実装レシピが明快。

あとこの所感

ABC467 は 「A で実数誤差トラップ + CE の連鎖対称性 + D の幾何場合分け + F のクエリ先読み+セグ木 + G の高度データ構造」 という、「Beginner の初手から鍛えられる」構成

「B の AC 率が A を超える(76% > 73%)」 のは、A の double 誤差被害の広さを示す 1 幕。「E のコードで C も解ける」 という CE のペアリング設計は、writer/Tester 陣(sounansya さんが BDG Tester)の意図が透けて見える巧みな仕掛け。

AHC068 直後のダブルヘッダー に臨んだ参加者の疲労感、それでも 「E から挑む逆張り」(Andrew N さん)や 「Unrated で気楽に 5 完」(ほっしー さん)といった各人各様の戦い方が見える夜でした。

参加された皆さん、おつかれさまでした 🌸 AHC068 との連戦、本当にお疲れ様です。明日 7/19(日)は 23:10 から ARC225、日曜夜も続きます。


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