開催概要

2026 年 7 月 21 日(火)20:00 JST に AtCoder Weekday Contest 0117(AWC0117)が開催されました。AWC は AtCoder の平日夜枠 Beta コンテスト、Unrated です。

問題は A〜E の 5 問構成、参加者 287 名

順位概況と AC 分布

問題ごとの AC 数:

問題タイトルAC 数AC 率
A温度センサーの点検 / Inspection of Temperature Sensors182 / 28763%
Bシャンパンタワー / Champagne Tower158 / 28755%
C会議室の混雑 / Conference Room Congestion148 / 28752%
D果物狩りフェスティバル / Fruit Picking Festival119 / 28741%
E商品の逆元ポイント / Modular Inverse Points of Products72 / 28725%

A → E は 63 → 55 → 52 → 41 → 25% の綺麗な減衰、「典型パーツの積み重ね」で全問題が典型手法に落ちる緩和構成。とくに B (55%) と C (52%) の 3 pt 差 は AWC としては珍しい平坦さ、D も 41% で 5 問中 3 問が過半数 AC。

完答数の分布:

完答数人数
5 完72 名
4 完数十名
3 完数十名
2 完17 名
1 完31 名
0 完94 名

5 完 72 名(25.1%) は AWC としては高緩和寄り、「E まで届く 25%、届かない 75%」の綺麗な二分化

あとこが人間だと思った上位 10 名

順位ユーザータイムPenレート所属
2TKTYI08:2302817Kyoto University
3Nachia10:5103239kemuniku fan club
4katsumata6811:1701930小石川中等
5KumaTachiRen11:4702400Kyoto University
6PCTprobability12:2513018Keio University
7harurun463512:4302688kemuniku fan club
8kemuniku14:5602066nachia fan club
9GOTKAKO15:0102336
10kidodesuyo16:0612348
11Shiro_neko18:09021250x3f club

1 位 suitosama123456(栄東中学、rate 0)は 07:51・5 完・0 ペナで速度と AC 状況の乖離から除外。実質 1 位 TKTYI さん(京大、rate 2817)08:23・0 ペナ が圧倒的、「5 問を 8 分 23 秒で完答」 の超早解き回。3 位 Nachia さん(3239) も 10:51・0 ペナで 10 分の壁 をあっさり突破、6 位 PCTprobability さん(Keio、3018) の 12:25 も別次元、AWC0117 は上位 3 名が rate 2800+ で全員 0-1 ペナ という異次元の早解き回でした。

Nachia さんの kemuniku fan club × kemuniku さんの nachia fan club の相互ファンクラブが並ぶ楽しい所属欄も注目ポイント。

引用させていただく方々:ぴよ さん(@QeCApzhs8M66721、AD 詳細 + B の TLE 罠)、とーらす さん(@torus711、Haskell 詳細解法)、☆ありゅ☆ さん(@Fo_Tr0、5 完復帰)、ごりちゃん さん(@prd_xxx、4 完 + E ガチャガチャ)、amesyu さん(@amesyu2、E FPS 表現)、まぬお さん(@saintmanuo、全完 27 位 + FPS 入門)、つつじ さん(@g222tech、4 完 + E 解説不明)、モアイ さん(@moaimomoai、E TLE でAI 依存)、AtCoder 公式アカウント。

全体感

A『温度センサー』— 番兵 / tails、単位無しトリック

AC 率 63%「先頭・末尾に 0 番兵」+ 「連続 3 個の最大和」 の典型 A:

とーらす さん(Haskell):

A: 先頭・末尾に 0 をくっつけてから tails して sum . take 3 を map

Haskell の tails を使った「連続 3 要素の窓」構築、関数型らしい 1 行実装。

amesyu さん のツッコミ:

A: 温度が負や!単位が無いね~w

「温度が負」+「単位が無い」 — writer の遊び心(絶対零度以下 or 気温以外?)を突っ込む。

まぬお さん

A: 愚直にやる。番兵を作ると楽

「番兵」テク は各所で一致。

☆ありゅ☆ さん

A. 始点と終点だけ先にやって逐次的に比較最大値を計算

B『シャンパンタワー』— 累積和 clamp の線形時間

AC 率 55%ぴよ さん の反省:

B: 線形時間でできる。問題 B だとタカをくくっていて油断した。TLE、あわてて RE で、2 ペナ。

「B だとタカをくくって油断」→ TLE + RE で 2 ペナ — シャンパンタワー系は素直にシミュレートすると N² になりがち、「線形時間の伏線」 が B の隠しレベル。

amesyu さん の実装:

B: おもしろい。累積和で clamp(sum - csum[k-1], 0, c[k-1])

「累積和で clamp(sum - csum[k-1], 0, c[k-1])「あふれた分を次に流す」を閉じた式で書く エレガントな線形実装。

とーらす さん

B: 注がれた総量から一個手前までの累積和を引いたのがそこに到達する量

「一個手前までの累積和を引く」 の同型表現。

まぬお さん

B: 今増えているグラスの cur を持ってシミュ。

C『会議室の混雑』— 座標圧縮+いもす法(imos)

AC 率 52%「座圧+imos」 で全員一致:

ぴよ さん

C: 座標圧縮+いもす法

☆ありゅ☆ さん

C. 座圧していもす

ごりちゃん さん

C: 座圧して imos

まぬお さん

C: 座標圧縮 + imos

「座圧+imos」の 4 連発 — AWC の C として鉄板の「区間加算+クエリ最大」パターン。

amesyu さん の反省:

C: 瞬間を誤読 (誤実装) した。sort してよしなに

「瞬間の誤読」 = 開区間 / 閉区間の解釈違いあるある。

とーらす さん

C: イベントソートして scanl (+)

Haskell 民らしい scanl (+) = 累積和 の書き方。

D『果物狩りフェスティバル』— 座圧+セグ木 or heapq

AC 率 41%「V が大きい順に貪欲+高さで管理」 の典型:

ぴよ さん

D: 座標圧縮+セグ木。未使用の脚立をセグ木で管理する。おいしさの高い果物から順に未使用の脚立で取れるかチェックしていく。

「未使用脚立をセグ木で管理」+「おいしさ降順の貪欲」 の 2 段構え。

ごりちゃん さん

D: 座圧して低い順にイベントソートをし、価値の高い順 heapq L も低い順に並べ替えて良いの面白い

「価値降順 heapq + L 昇順並べ替え」 の実装 + 「並べ替えて良いの面白い」 の気づき。「収穫順を変えても同じ」 性質(とーらす さんの言葉)が実装の自由度を生みます:

とーらす さん

D: 収穫順を変えても同じなので L_i の昇順に,それまでの高さ以下にある最大のものをとる

「L_i 昇順にそれまでの高さ以下の最大」 の典型スケジューリング。「順序不変性」 に気づけば、あとは max 取り。

まぬお さん

D: 果物の追加クエリと取得クエリを高さ順に並べて貪欲

「追加/取得クエリの高さ順並べ替え + 貪欲」 の実装レシピ。

☆ありゅ☆ さん

D. V が大きい順に貪欲.SortedList で L の管理した

「SortedList」 = Python の sortedcontainers を使った実装、TLE リスク軽減。

amesyu さん

D: ソートして priority_queue でよしなに

E『商品の逆元ポイント』— FPS 入門問題

AC 率 25%(72 名) の最難関、FPS(形式的冪級数) 入門系:

まぬお さん(全完 27 位、E FPS 明快解説):

全完 27 位!! E: FPS 入門みたいな問題。M の倍数の a は除外して、a*b = 1 なる b を 1 + bx の形で FPS で足していく。x^K の係数が答え

「M の倍数の a を除外 → a*b = 1 の逆元 b で (1 + b*x) を FPS で掛ける → x^K の係数」 の綺麗な骨格。「1 + bx の形で FPS」 = 「各要素を選ぶ / 選ばない」の生成関数、これが AWC の E で出るのはかなり本格派。

☆ありゅ☆ さん

E. M | A_i となる A_i を除いたもの全体を B として,Π(1 + (B_n^{-1}) x) の x^K の係数.

「Π(1 + B_n^{-1} x) の x^K 係数」 の閉じた式、まぬお さんと同じ骨格。

amesyu さん の DP 表現:

E: 謎のポイント。M の倍数を除き各値の逆元を取った B で dp[i+1][j] += dp[i][j], dp[i+1][j+1] += dp[i][j] * b[i]

「dp[i+1][j] += dp[i][j], dp[i+1][j+1] += dp[i][j]*b[i]」 = FPS を DP として展開した形「取る / 取らない」の 2 分岐 × 逆元による重み。O(NK) の実装で通ります。

ごりちゃん さん の E ガチャガチャ:

E: A の逆元をとって、どうせ dp だろうと式を立てずにガチャガチャしてたが、合わなかった

「式を立てずにガチャガチャ」「合わない」 は E あるある、まず正しい式を書き下す必要性。

つつじ さん

AWC0117、ABCD 4 完でした。 E は、解説読んでも、よくわかりませんでした。

「解説読んでもわからない」 — FPS 未修者にはハードルが高い E。

モアイ さん

D まですんなりいけたけど E で派手に転んでそもそもなんで TLE してんのか分かんなかったのでまた AI に頼りました 自力全完失敗

「TLE → AI に頼る」 の 2026 年競プロあるある。「自力全完失敗」 の悔しさ。

あとこの所感

AWC0117 は 「番兵 A + 累積和 clamp B + 座圧 imos C + 座圧セグ木 D + FPS E」 という、「AWC 頻出典型の総復習」 構成。AC 率 63 → 55 → 52 → 41 → 25 の綺麗な減衰は、writer が 「典型度」を意識して並べた 証拠。

上位 3 名が rate 2800+ で 0-1 ペナ、TKTYI さん 8 分 23 秒全完 は、「典型度が高い問題を高レートが速く倒す」 現象の綺麗な例。Nachia さん & kemuniku さんの相互ファンクラブ の楽しい所属欄、Nachia さん & harurun4635 さんの kemuniku fan club から kemuniku さんの nachia fan club へと、「rate 3239 と rate 2066 が互いにリスペクトし合う」 微笑ましい光景。

E の FPS(形式的冪級数)入門 は AWC の E としてかなり本格的、「取る / 取らない × 逆元による重み × x^K 係数」 の綺麗な構造。まぬお さん、☆ありゅ☆ さん、amesyu さん の 3 通りの表現(FPS / 総積 / DP)が並ぶのが良いですね。

AWC0116 が「山ペア」、AWC0117 が「典型総復習」 と、writer 陣の色が違うのが AWC の面白いところ。参加された皆さん、おつかれさまでした 🌸 明日 7/22(水)は AWC0118、AHC ラジオ第 44 回(AHC068 解説、20:00)と同日水曜も続きます。


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