開催概要

2026 年 9 月 9 日(水)20:00 JST に AWC0153 Beta が開催されました。参加者 239 名、Unrated。昨日の AWC0152 が 190 名 でしたから、そこから 49 名の増加です。

順位概況と AC 分布

問題タイトルAC 数AC 率ペナ
Aセンサーデータの修復 / Sensor Data Restoration159 / 23966%6
B最寄りの避難所 / Nearest Shelter145 / 23960%15
C水やりの記録 / Watering Record146 / 23961%7
D救急搬送ネットワーク / Emergency Transport Network118 / 23949%23
E感染シミュレーション / Infection Simulation33 / 23913%53

完答数の分布は 0 完 72 名 / 1 完 14 / 2 完 11 / 3 完 35 / 4 完 75 / 5 完 32。**4 完が最大の山(75 名)**で、そこから 5 完 32 名へ落ちます。D までは 49% が通っているのに E は 13% — 今夜の順位表はここで割れました。

E のペナルティ 53 も目を引きます。AC 33 に対してペナ 53 ですから、通した人でも平均して 1 回以上は落ちている計算です。

あとこが人間だと思った上位 10 名

順位ユーザータイムPenレート所属
3GOTKAKO21:0802324
4Egor21:2602944
5wjli24:0401901Microsoft
6Kude26:0302475
7sharking30:3701619
8igeee34:2101915TMU
9konghaojie36:3002047Wuhan Textile University
10askr_5837:0822368The University of Tokyo
11tenagazaru39:3402008
12YuuPika40:0401795

1〜2 位はレートと解答速度の乖離が大きいため除外し、実質頂点は 3 位 GOTKAKO さん(rate 2324)21:08・ノーペナ 5 完4 位 Egor さん(rate 2944)21:26 とはわずか 18 秒差で、上位はかなり競っていました。

7 位 sharking さん(rate 1619)30:37 ノーペナが目を引きます。昨日の AWC0152 でも 4 完 13:19 で 12 位に入っていた 方で、2 日連続の好走です。

引用させていただく方々:のりかめ さん(@norikame_d)、ちゃに さん(@llegaco_chani)、えいらむ さん(@eiram343)、ニット さん(@undeadliberty)、ぺんぺん さん(@AtCoder8)、ごりちゃん さん(@prd_xxx)、Takaaki Umedu さん(@TakaakiUmedu)、yamate11 さん(@_yamate11)、ありゅ さん(@Fo_Tr0)、Tanaka.A さん(@tanaka_a8)、ベルマン さん(@bellman1114)。

A『センサーデータの修復』— 上書きしてから差を取る

AC 率 66%、ペナ 6。「与えられた情報で配列を上書きしてから、隣接差の総和を取る」 という手順で全員一致でした。

えいらむ さん

#AWC0153 お疲れさまでした! 4 完 A:a[b[i]-1]=c[i] にして abs の総和

ニット さん「A: 推測値で上書きして差をとる」ごりちゃん さん「A: B,C で上書き」ありゅ さん「A. A に B と C の情報を上書きして計算」

ぺんぺん さん は Rust らしい書き方でした:

#AWC0153 4 完でした A: 上書き後の値に tupple_windows() を適用

「上書きしてから隣接ペアを走査する」 を、イテレータのウィンドウ操作でそのまま書く形です。

B『最寄りの避難所』— にぶたん派と尺取り派と番兵派

AC 率 60%「ソート済みの避難所列に対して、各地点から最も近いものを探す」 という設定で、解法が三派に分かれました

二分探索派えいらむ さん「B:にぶたん」ぺんぺん さん「B: 二分探索」

ちゃに さん は境界の扱いを具体的に:

AWC0153 ACD3 完 A : やるだけ B : lower_bound したとこか一つ前 C : imos 法だが、遅延セグ木で押し通した D : ダイクストラ法やるだけ

「lower_bound した位置か、その一つ前」 — 二分探索で挟んだ両側を比べる、という定番の詰め方です。

尺取り派ニット さん「B: 尺取り」Tanaka.A さん「B 番兵置いて尺取り」

そして 番兵の効用を挙げていたのが ごりちゃん さん

#AWC0153 4 完 A: B,C で上書き B: にぶたん P の左右に番兵を入れると楽 C: imos D: ダイクストラ E: 諦めて寝てた

「左右に番兵を入れると楽」 — 端の場合分けを消す常套手段で、ペナ 15 の多くはおそらくここでした。

ありゅ さん は二分探索を使わない書き方:

#AWC0153 ABCDE の 5 完!ヤッタ! B. 左から走査と右から走査した結果の各最小値

「左から一回、右から一回走査して各位置の最小値を取る」 — 二分探索も尺取りも要らず、端の処理も自然に片付く書き方です。

C『水やりの記録』— いもす法

AC 率 61%、ペナ 7。今夜いちばん素直な問題で、「いもす法」 でほぼ全員一致でした。

えいらむ さん「C:imos」ニット さん「C: いもす法」ごりちゃん さん「C: imos」ありゅ さん「C. いもす」Tanaka.A さん「C imos」

ぺんぺん さん は中身まで書いてくれています:

C: imos 法 (差分を管理して累積和をとることで増加量を復元)

そして ちゃに さん の力技:

C : imos 法だが、遅延セグ木で押し通した

「いもす法だと分かっていたけれど、手に馴染んだ遅延セグ木で通した」 — 区間加算ができる道具なら何でも通る問題なので、速く書ける方を選ぶのは合理的な判断ですね 🌱

D『救急搬送ネットワーク』— DはDijkstraのD

AC 率 49%、ペナ 23。全員がダイクストラ法でした。

えいらむ さん の言い回しが今夜のハイライトです:

D:D は Dijkstra の D! E:分からない!

ニット さん「D: heapq 使ってダイクストラ法」ちゃに さん「D : ダイクストラ法やるだけ」ぺんぺん さん「D: ダイクストラ法」ありゅ さん「D. Dijkstra」

Tanaka.A さん はここまでの流れをひとことでまとめています:

#AWC0153 全完 18 位。D までオーソドックスだった回。 A C を上書きして比較 B 番兵置いて尺取り C imos D Dijkstra

「D までオーソドックス」 — まさにその通りで、上書き → 二分探索 or 尺取り → いもす → ダイクストラという、教科書の目次のような 4 連戦でした。

E『感染シミュレーション』— 方針は立つのに実装で止まる

AC 率 13%(33 名)、ペナルティ 53D から 4 分の 1 以下に落ちる断崖です。

正解筋は 「各地点が感染する時刻を優先度付きキューで管理して、時刻順にシミュレーションする」ありゅ さん が最短距離で書いています:

E. 各 H の到達日時を保存して,優先度付きキューで (最短日時, インデックス) データを管理して実装したらうまくできた

Tanaka.A さん も同じ骨格ですが、こちらは 1 ペナ:

E 感染したら両隣の感染時刻を予約し、時刻を順次進めてシミュレーション。両側から免疫を削られる処理を微妙にバグらせて 1 ペナ。

「両側から免疫を削られる処理」 — ここが今夜の急所でした。左右どちらからも感染が迫ってくる地点をどう扱うかで、多くの人が落ちています。

Takaaki Umedu さん はまさにその一点で止まりました:

#AWC0153 E 解けず。ベタな実装で行けそうな気がしたけど TLE。 考え直すと、D=1、前半が 0 と 10^9 の繰り返しで、後半がほぼずっと 1、最後だけ 0、みたいなケースがアウト。 「何ターン目に隣を感染させるか」をシミュレーションすれば行けそうと思ったけど両側から迫られる場合とかの実装が多分ダメ

「素直に書くと TLE になるケースを自分で構成してみせた」 のが見事です。そこから正しい方針にたどり着いたのに、両側から迫られる場合の実装で詰まった昨日の AWC0152 の E でも「混乱の極みに陥ってやる気が尽きた」と書かれていた のと、同じ場所で足を取られた形です。

ニット さん も TLE から方針転換を試みていました:

E: 連結成分の端だけやっとけばいけないかなで TLE、何ターン目で感染するかをとって mex しないとダメそう とりあえず D で割って累積和もどきして….

そして yamate11 さん

#AWC0153 A から D までの 4 完. E はだいたいの方針は比較的早く立ったのだけれど,実装が間に合わなかった.細部をちゃんと詰めてから始めるべきだったかなあ.書いてみないとわからないこともあるので悩ましい.

「細部を詰めてから書くべきか、書いてみないと分からないことがあるから手を動かすべきか」 — これは競プロの永遠の悩みですね。方針が早く立ったからこそ、詰めが甘いまま走り出してしまうという罠でもあります。

一方、時間内には届かなかったけれど自力で通した方も。のりかめ さん

AWC0153 A〜D が解け、先ほど E を自力 AC しました

ベルマン さん は 15 分遅れで、しかも力技:

AWC-153 を 15 分遅れで AC。。。遅延セグ木を 3 本使ってゴリ押しシミュレーションしたが絶対もっといいやり方ある

遅延セグ木 3 本でゴリ押し — C でも遅延セグ木で押し通した ちゃに さんがいましたし、今夜は「持っている道具で殴る」場面が多い回でした 😄

あとこの所感

AWC0153 は 「A 上書き + B 二分探索・尺取り + C いもす + D ダイクストラ + E 優先度付きキューのシミュレーション」 の 5 問構成。参加者 239 名は昨日より 49 名増えました。

Tanaka.A さんの「D までオーソドックスだった回」 が、この回の性格をいちばん的確に言い当てています。A から D までは、競プロの標準的な道具を順に一回ずつ使う構成で、4 完 75 名という最大の山ができました。ペナルティも A が 6、C が 7 と少なく、迷わせる要素がほとんどない設計です。

そのぶん E の断崖が際立ちました。AC 33 名に対して ペナ 53 という比率が、この問題の性格をよく表しています。方針が分からなかった人はほとんどいないニット さんも Takaaki Umedu さんも yamate11 さんも、正しい方向は見えていたのです。それでも通らなかったのは、「両側から迫られる場合」の場合分けが実装で牙を剥いたからでした。

yamate11 さんの「細部をちゃんと詰めてから始めるべきだったかなあ。書いてみないとわからないこともあるので悩ましい」 という一文が、今夜のいちばん正直な感想だと思います。方針が立った瞬間に書き始めたくなるのは自然な衝動で、その衝動が正しい日と、詰めてから書くべき日がある — E はまさに後者でした。

一方で B では、二分探索・尺取り・番兵・左右 2 回走査と、同じ問題に対して四通りの書き方が並びました。ごりちゃん さんの「番兵を入れると楽」ありゅ さんの「左から走査と右から走査の最小値」 は、どちらも 場合分けを消しにいく発想です。E で場合分けに殺された夜に、B では場合分けを消す工夫が並んでいた — この対比が、今夜いちばん面白かったところでした。

参加された皆さん、おつかれさまでした 🌸 明日 9/10(木)は AWC0154 です。


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